Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
川の中に人が立っています。麦藁帽子を冠って着物の裾は水に垂らしたまゝです。水は夏の夕映の空をうつして灼けた緑色に展びています。風が吹くと川の中に立つ人の袂がはためきます。すると立つ人の無雑作な姿は煙りっぽい影と共に水の表面を歩いて行くようにも見えます。橋の欄干から子供が三四人覗いていました。
「文公――、バカ――」
「そんなに河のまん中へ出ちゃ、洲から外れて深いところへ落っこっちゃうぞ」
川の中の人は欄干の方を振り向いて、愛想らしく麦藁帽子を冠った首を上下に揺り、また、前へ向き直るとゆさり/\裾を水にひき拡げながら一間ほど進み出ました。素早く右手が水を撃つ。掴んだ手に閃めくものを懐へ入れます。魚を捉えたのであります。再び凝然として水中に立っています。
きょうの大潮を目ざして町外れの漁師たちはこの大洲のまわりへ立て網を張りました。昼の三時頃には洲の水は浅くなって足の踝ほどになりました。漁師たちは手網や手掴みで四斗樽に一ぱい半ほどの魚を漁り、網を外ずして去りました。しかしそのあとでも藻の中の泥土にまみれて漁師の眼から逃れた魚が上げ潮に誘われて半死半生のからだを浮き上らせないことはありません。