Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
とわたくしの面倒をみだし、わたくしのサブリ小屋も自分の橋下の棲家から十間とは距てない河上の堤下に位置を選んで呉れました。建築材料もなにかと運んで来て小屋を構えるのに手伝って呉れました。貰いには一緒に連れて歩き、お得意を分けて呉れたり乞食仲間にも白痴ながらにワタリをつける仲間の労を取って呉れました。
けれども、彼はとき/″\全く痴呆してしまう場合があります。それは自分ひとりの中へ潜み入って外界との交渉を全く断ってしまうようにも見え、彼自身は空しくなりながら、代って大地に置き忘れた茫漠とした心がせり上り、彼を支配するようにも思われます。それは虚脱した人間のようにも見え、超越の神の子のようにも見えます。外形はうすぼんやり寂しくて、離れてあとで考えると、窺い知ることの出来ない充ち足った気配いを感じさせます。そういうときわたくしが彼の眼の前に立っても彼は杭のように突き当ってしまったり、見ず知らずの人のように邪魔そうに身体を交わして行き過ぎてしまうのでした。
わたくしとて、憩いのためには出来るだけぼんやりを装い、他人のみならず自分自身に向ってさえ現実の存在感を暈すように仕向けて来ておりますから、文吉とわたくしは、こうした間柄でありながら割合に引立たない交際振りでありました。