Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
けれどもこの電気でうっかりした人を撃つわけにも参りません。その揺り返しは必ずや、仮りの乞食のマスクを奪い、折角の憩いも空しくされるでしょう。文吉だけは、大地そのものゝように茫漠として、わたくしの与える電気も畳に針のように痛みも反撥もございません。それでわたくしは彼にだけ流眄を試みます。身のうちの電気を散電させます。若さをせめて浪費いたします。
わたくしの流眄の影響を過して元の文吉に戻った彼は、
「おれに縋いて来るんだぞ」
と威張って歩き出しました。
わたくしも、ふと、もとの女乞食に返ります。見る眼に今や鷺町の家も路面も真夏の午前の陽の光りにじゅく/\と油で揚げられかけております。
文吉はわたくしを従えてだん/\門並を貰って行き、百瀬の本家の門を入って行きます。植込みのところで、車廻しのついている表玄関から子持乞食のお三が入るのをちらりと見かけます。台所は一つ小門を潜った右側の中になっていますが、わたくしたちはそっちへは行かないで、左側の方の垣の枝折戸まで来て文吉だけ戸を開け庭へ入って行きます。そこに客のあるときは別ですが、客の無いときは半身不随の老主人が寝椅子に横たわって眼をまじ/\さしているのを見かけます。