Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

蝶子

川の渡りは無事だったか、家の首尾は。

別に心配もしないが、おまえとわたしがこうなってからの最初の手紙をいま書き出そうとして、その書き出しを何と書こうか、とつおいつ思案の末、却ってあっさりこう書き出した。いかに思いを籠めようかと千々に心惑った揚句、白紙にたゞ「なつかしさのあまり」と書いて封じ遣ったむかしの人の心遣りのように。

別に心配もしない事柄を普通の手紙の問候のようにわたしは冒頭に書く。だが選み出したこのあっさりした言葉によって尋ねかけるわたくしの胸の中の愛の厚みや拡ごりを、――ああ――その無限を、おまえは知るか。

おまえを自動車で送って、わざと鷺市の中まで入らず多那川橋のずっと手前で別れてわたしは庵へ帰って来た。庵の茶の間は弟弟子の秋雄によって珍らしく綺麗に掃除され、電灯も明いように感じられた。その下で二人は番茶を飲みながら少しばかり語った。

わたしは秋雄に「心が通じたという安心はどんなに人を落付かせるか知れないね。こうなったら逢う逢わないはたいした問題じゃない」と言った。秋雄は「その落付きはまず今夜か明日の昼ぐらいまでは続くでしょう。