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Japanische Klassiker mit Furigana

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しょうじょうるてん

生々流転

岡本 かの子

Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme

Aozora Bunko

廻った。わたしが結婚後かの女に理由を知らせずに外泊したのはこれが始めてだった。海村漫遊の逃れた気分はそれをするさえ億劫だった。

わたくしがわが家の門へ一歩入ると、そこへ飛出して来た妻のお艶の顔を見てわたしは立竦んだ。その顔は狂人のそれのように表情が壊れていた。わたしを見て却って怯えるように後じさりをしつゝ涙をぽろ/\零した。「もう駄目です」かの女はたった一言いった。そしてよゝと泣き倒れた。

もっともかの女をこう嘆かせたには智識的幇間のわたしの優越を嫉みながら先輩なるが故に兄貴振りたがり、その上、わたしの妻のお艶に横恋慕していた古参の幇間が、帰京した老妓からわたしの消息を聞き、これはうまい種が出来たと、その消息に、繞をかけてお艶に焚きつけたのにもよるが。

芸人の妻の癖に、而かも注進する相手の男の性質を知ったなら、それほど煽られずともよさそうなものをお艶はまともにそれを受けた。お艶は幾つになっても経験というものに教えられない童女のところがあった。わたしが情を動かしてその妓と道行をしたと受取った。

わたしがお艶と結婚するとき、わたしの過去に於ての情事は律義な素人衆の結婚前のように花嫁お艶に告白してある。