Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
かの女に取り、兄さんからたゞのおじさんとなったわたしには、かの女を女の生活の総ての方面で成就さすことはまたわたしの成就でもあった。わたしはかの女を世界一幸福な女として花開かしたいものだと希ったのは取りも直さずわたしの世界一の幸福を意味する。他の関係筋ではかの女と精神肉体ともに悉く交渉を打切られてしまったわたしは、ただ親切という管に於て、たゞかの女の最上無上の幸福に努力するということだけに於て、わたしの肺臓は満腔の力を吹き込むのを許されるのだった。蝶子よ、おまえがわたしの上に平気で呼び慣れて来たおじさんというものは、そういう果敢無くも似非義人的なものなのだ。
女の幸福には、先立つものはやっぱり金だ。幇間の纏頭や俳句の選者料ぐらいはタカが知れている。わたしは書画骨董の鑑定を学んで、それ等の仲介のコンミッションを取ったり、自分でも売買する方面へ職業を転出して行った。わたしの物ごとの嗜味に対する鋭さと上部の如才なさとは、この社会に入ってかなり大きな額の金が掴めた。かの女は、金を使うのに螺鈿の軸の万年筆で小切手帳に金額とサインをする労力だけ払えばあとは顧ることなしに無尽蔵の資力をうしろに控えていた。