Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
刻むのには中心がいる。そしておまえはわたしに取っていちばん虫が好く娘なのだ。なぜ虫が好くというのか。虫が好くというのに理由があるか。
わたしの躾けは、この事を決行するまえおまえがわたしから逃れも騙しも出来る余悠の時日を与えるように、その日より四五日以前の市塵庵の茶の間でわたしはおまえにそれを明かした。躾けとは言いながら、しかし結局それはわたしの悲痛な詩であったであろう。何でわたしがこの世に愛情の極みのおまえを、如何なる理由にしろ壊してよいものか。その底の底の心ではわたしはおまえが巧みに逃れもし騙しもして呉れて、結局わたしはたゞ一つのまことしやかな美しい思い出をおまえから胸に抱かせて貰って、漂泊の旅に出るか、放蕩無惨な生活に入るか、意識と共に姿形を消え失さすか、どうもそういうことにして貰うに違いないと念じていたことをいま気付いている。恋は心を迷わせる。あのときと今と、あゝ、わたしは自分に対して何が何だか判らない。市塵庵の茶室で、わたしはおまえの心の竹の節を抜いた。おまえはわたしを理解して呉れた。これはわたしに取っても思いもよらないことだった。不思議や、そのときからわたしに肉体的の慾はきれいに失くなった。