Japanische Klassiker mit Furigana
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しょうじょうるてん
生々流転
岡本 かの子
Lesen Sie 生々流転 (しょうじょうるてん) von 岡本 かの子 (おかもとかのこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 297.521 Zeichen · 586 Bildschirme
して肉身には伝わり易いものであるだけに、子のわたくしには、影響を及ぼしたくない用心から、度外れなほどわたくしに対して気持の上の交渉を避けて来たこと、それ等は、わたくしが事に遇い、折に触れて父のことを想い出す毎に、薄皮を一枚一枚剥ぐように判って来ました。今は疑う余地もなくなっています。父は、何もかも忘れて、わたくしに本能のまゝなる声をかけてみたかったのである。その結果は親子共に菰の上に寝ることになろうと土の上に転ぶことになろうと、親として欲する有りの儘な声で喚び交してみたかったのである。だが、父は一生、何かに妨げられて、それが出来なかったのであろう。
わたくしが、自分は乞食の素性をひく娘だということは、日頃父のその気持の探求に耽りつゝあるときでも、わたくし自身に対しては忘れていたものである。わたくしは寂しさを風の音にも掻き立てられる性分でありながら、一方わたくしには、父の勝気に母の技巧家のところも多少は混り入って、人の目にはとかく派手で、心に止まる娘であるらしい。人の目にはこうも見られている若い娘が、つい自分でもその気にならないことはないし、事実、花を見ても月を見ても、その当座の分として、わたくしは恐らく人並の娘以上に面白さを感ずる性質であるでしょう。