Japanische Klassiker mit Furigana
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せいとしとのきろく
生と死との記録
豊島 与志雄
Lesen Sie 生と死との記録 (せいとしとのきろく) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.961 Zeichen · 39 Bildschirme
それから病室に案内せられた。中庭に面した二階の六畳の室で、寝台の室でないのが気持よかった。
医員と女医と看護婦長とですっかり堯の手当が為された。胃部には温湿布があてられた。私は医員の人から、今までの堯の病状を悉しく尋ねられた。堯はもう意識を失っていた。――熱六度三分、脈搏百、呼吸三十五。
一先ず凡ての事が済むと、私は初めて落ち附いた。そして力強くなった。「屹度よくなる!」とそう思った。病院には他にも多くの入院患者が居た。廊下を歩き廻っている子供も居た。今日初めて粥を一杯許されて喜んでいる子供も居た。
痙攣は全く起らなかった。然し、その代りに嘔吐が催して来た。白い粘液性の唾液みたいなものが少しずつ口から出た。医者は首を傾げた。食物も飲料も一切与えられなかった、それから薬も。
間もなくS子さんが家から来た。病院に頼んで置いた附添看護婦も来た。
堯は眠っていた。
私は六時頃、S子さんに頼んで、家に帰った。
芳子がじっと坐って、一つ所を見つめるような眼をしていた。
「どうしました。」
「同じようだ。」
「痙攣は?」
「ない。その代り嘔吐があった。」
「沢山?」
「いや唾液みたようなものを少し。