Japanische Klassiker mit Furigana
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せいとしとのきろく
生と死との記録
豊島 与志雄
Lesen Sie 生と死との記録 (せいとしとのきろく) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.961 Zeichen · 39 Bildschirme
私達は一年間の心労からほっと息をついた。
「よくもったものだ」とふり返って考えた。そしてその頃からT式抵抗療法の方のKという女の人に毎日私の家へ来て貰って、十分か十五分ずつ腹を揉んで腸の働きを活気づけて貰った。八月末からは、K氏にも三日に一度位来て貰えばいいようになった。九月なかばからは一週に一度になった。
堯は少しずつ、ほんの少しずつ、一年間の衰弱から脱して肥っていった。もう他人の手をからないでも、自分一人で生長してゆけるようになった。時々便の加減が悪かったり熱が出たりしたが、それもすぐに癒った。物につかまって歩けるようになった。そして頭の方も著しい発達をして来た。何でもよく分っていた。私達は喜んだ。N神社の祭礼には、小さな万燈を買ってやると、それを手に持って、後ろから人に身体を支えさせながら、家の中を駆け廻った。
芳子は二度目の児を妊娠していた。九月末か十月初めに出産の予定だったが、まだそれらしい模様も見えなかった。少し後れても心配はいらないと産婆は云った。「心臓の鼓動が多いようだから屹度女のお児さんでございますよ。」と云われた。それで男と女と一人ずつで丁度よくなるのであった。