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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

「待っていたのだ、通すがよい」

間もなく部屋へ入って来たのは、宮川茅野雄と浪江とであった。浪江は丸髷に結っていた。

つづいてもう一人の若く美しい、無邪気らしい乙女が入って来た。

将監の娘の小枝であった。

――が、俺はもう二人の男女を、ほんの最近に夫婦にしてやったと、慶正卿の云った男女が、この茅野雄と浪江なのであった。

そうして小枝と茅野雄夫婦とは、いずれも仲のよい友達であり、三人ながら慶正卿の館へ、伺候することを許されている、そういう身の上になっていた。

「何か珍らしい話はないか?」

慶正卿が三人へ訊いた。

と、小枝があどけなく云った。

「刑部老人の蒐集室へ参り、このような物を買うて参りました」

取り出して見せたのは宝玉をちりばめた、美しい異国風の簪であった。

慶正卿はとりあげたが、

「碩寿翁、これを値踏みしてごらん」

こう云って笑って簪を渡した。

と、碩寿翁は苦笑をしたが、

「どうやら依然としてあの老人は、贋物を売っておりますようで。……この宝玉は硝子のかけらで」

「さようさよう硝子のかけらだ」

で、二人は哄笑した。

これで刑部という老人が、例の屋敷で勿体らしく、贋物の古物や異国産の品を、売っているということが読者諸君にも、諒解されたことと思う。