Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme
書面をお取り、包物をお取り! 急いで急いで急いでおいで」
「はい奥様」と手代の京助は、書面と包物とを受け取りはしたが、お菊の顔付きに不安なものがあって、その言葉つきにあわただしさがあって、全体に何となく不吉なものを、感じさせるものがあったので、飛び出して行く気にならなかった。
しかしお菊が怒ったような声で、こう続けさまに云ったので、京助は不安ながらも部屋を出た。
「云うことをお聞き! 行っておいで! お前は妾に云ったじゃアないか、どのような無理でも難題でも聞くと。……何でもありゃアしないのだよ。持って行って返辞を聞くだけだよ。そうそう何かを渡すかもしれない。大切に持って帰っておいで。……妾の云い付けを聞かなかろうものなら、お前は明日からお払い箱だよ」
――お前は明日からお払い箱だよ――この言葉ほど京助にとって、恐ろしい言葉はないのであった。
で、あわただしく部屋を出た。
が、すぐに邪魔がはいった。
門口を出て庭へ出て、門から往来へ駆け出そうとして、束になって咲いている木芙蓉の花の叢の側まで走って来た時に、
「京助!」と呼ぶ声が近くで聞こえて、
「これ、どこへいく? 持っている物は何だ!」