Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme
(青木先生の食客となって一生冷や飯を食うのもいいさ)などと磊落に思うこともあった。
(父母もなければ兄弟もなく、親戚もないということが、こんな場合にはかえって気安い)
しかし時にはそういうことが、寂しみとなって感ずることもあった。
宮川茅野雄は歩いて行く。
と、青木侯のお屋敷の、土塀を左へ曲がった時に、先へ行く二つの人影を見た。一人は、若い侍で、背後姿ではあったけれど、何とも言えない品と位がその体に備わっていた。もう一人は、六十を過ごしたくらいの、頑丈らしい老武士であったが、これも品位を備えていた。
(追い抜いては失礼にあたるだろう)
で、茅野雄は後について歩いた。
すぐに茅野雄の耳についたのは、二人の変わった会話であった。
「ああいう品物を手に入れるのは、個人としては危険なのだよ。どうでもあれは昔に返して、亜剌比亜の沙漠の神殿の奥へ、封じ込まなければならないのだよ」
こう云ったのは若い方の武士で、その云い方には特色があった。すなわちいつも他人に対して、絶対的服従を命じ慣れている――と云ったような云い方なのである。高貴で威厳があって断乎としているうちに、温情があふれ漲っている。