Japanische Klassiker mit Furigana
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せいしまんじどもえ
生死卍巴
国枝 史郎
Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme
一種いわれぬ威厳があって、遮ろうにも遮ることが出来ない。
で、弦四郎は立ったままでいたが、千賀子の姿が見えなくなるや嘲るような声をもらした。
「碩寿翁には先手を打たれ、千賀子には謎語を浴びせかけられてしまった。今夜は、俺にはめでたくない晩だ。二度あることは三度あるというが、もう一度、今夜中に嚇されるかもしれない」
(それにしてもどういう意味なのであろう? あの方はご出立なさいました、あなたもご出立なさいませとは?)
しかし間もなく謎語の意味が、醍醐弦四郎には解けて来た。
「伊十郎めに早く逢おう」
こうして足を早ませて、両国の橋詰めまで行った時に、向こうから一人の若い武士が、息をせき切って走って来たが、
「おおこれは醍醐殿で」
「伊十郎氏か、何か起こったか?」
「宮川茅野雄が旅に立ちました」
(ははあこの事を云ったのだな、あの千賀子という女巫女は)
「おおさようか、で、何処へ?」
「まずお聞きなさりませ」
年は二十八九であろうか、帷子に小袴をつけている。敏捷らしい顔立ちのうちに、一味の殺気の凝っているのは、善良でない証拠と云えよう。醍醐弦四郎の部下と見えて弦四郎に対しては慇懃である。