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Japanische Klassiker mit Furigana

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せいしまんじどもえ

生死卍巴

国枝 史郎

Lesen Sie 生死卍巴 (せいしまんじどもえ) von 国枝 史郎 (くにえだしろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 91.598 Zeichen · 182 Bildschirme

Aozora Bunko

「洵に浪江殿はいい娘ごではあるが、父上の宮川覚明殿は、俺には変に人間放れのした、奇怪な人物に見えてならぬ」

弦四郎はこう云うと苦々しく笑った。

「そのくせあの仁に依頼されると、危険だと云われている白河戸郷へ、こうして様子を見に出かけて来る。我ながら変な気持がするよ」

「覚明様は一面霊人、他面魔物にございますよ」

こう怖そうに云ったのは、片眼潰れている若者であった。

「奇怪といえばもう一つある」

弦四郎は云い云い首を傾げた。

「あの神殿も奇怪なものだ」

「…………」

誰もが返辞をしなかった。

誰も彼も弦四郎が言葉に出した、「神殿」というその言葉に、触れることを憚っているようであった。

「が、俺は覚明殿と約束をしたのさ。俺の力で白河戸郷を、没落させることが出来たなら、浪江殿をくれるか神殿の中へ入れるか、どっちかを果すという約束をな」

しかし弦四郎がこう云っても、若者達は黙っていた。

信用しないぞという様子なのである。

一行は先へ進んで行く。

同じように野からは陽炎が立ち、兎が草の間から飛び出したりした。

一行の歩いて行く影法師が、野の花で絨毯を織っている、曠野の上へ黒々と落ちて、一行が進むに従って、影法師も先へ進んで行き、影法師が進んで行くにつれて、野の花がある時は暗くなり、またある時は明るくなった。