Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たはらしのはんざい

田原氏の犯罪

豊島 与志雄

Lesen Sie 田原氏の犯罪 (たはらしのはんざい) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 27.957 Zeichen · 57 Bildschirme

Aozora Bunko

子供の病気はよく面倒を見てやらなければいけない。」

広田は涙をぼろぼろと落した。そして何とも云わないで、ただ頭を低く垂れたままじっとしていた。

「今日は、一寸見舞に来たのだが、余計なことを饒舌って許してくれ。それでは僕は外に用もあるので……。」

「お心は十分に分りました。以後全く注意いたしますから……。」広田はそれきり何にも云えなかった。

田原さんは立ち上ると、先刻から襖の影で二人の話をきいていたらしい細君が、眼に一杯涙をためてあわてて玄関の式台に田原さんの下駄を揃えた。

田原さんは玄関でも一度広田を呼んだ。

「僕の云ったことは分ったろうね。それから原口へはつつまず事情を話しておく方がいい。実直な老人だから、話をすればよく分る。ただくれぐれも嘘を云ってはいけない。」

「はい。」と、広田は答えた。

田原さんはそのまま待っていた俥に乗った。

その翌日は雪であった。田原さんはわざと店に出かけないで、雪の降るのを書斎から眺めていた。そしてその晩、広田のことを妻と重夫とに話した。それからこうつけ加えた。

「広田は実際、金が必要であったに違いない。ただ物品をまた店に入れるについて無理をしたかも知れないが、それは反って彼のためにいいだろう。