Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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たばたのきしゃそのほか

田端の汽車そのほか

宮本 百合子

Lesen Sie 田端の汽車そのほか (たばたのきしゃそのほか) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.507 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

こわいくせに、そのこわくて大きな馬の後脚の間に、ホカホカ湯気の立つ丸い馬糞が落ちていたのは、まざまざと見て覚えるのであった。

からたちの垣は、表の大通りにある門のところまでつづいて、松平さんの桜といえば、その時分林町のその往来に美しく立派なお花見をさせた。からたちの垣がくずれているところから草の茂った廃園が見え、奥の方に丘があってその上に茶室めいたつくりの小さい家が白く障子をしめて建っているのなどもわかった。からたちの垣に白い花が咲くころ、柔かくゆたかな青草が深くしげったその廃園の趣は、昔、植えられた古い庭木が枝をさしかわししげっているためもあって、云うに云えない好奇のこころを動かされた。からたち垣のこわれたところから、女の子はあこがれのこころをもって、その人気なくて、しかも人間に近い廃園をのぞいた。この廃園は昭和に入ってから、市島という越後の大地主に買いとられた。からたちの垣はもうすたれて、いかめしい非常に高いコンクリート塀がこの一区画をしきることになった。きょう、塀そとを通る私たちに見えるものは、昔ながらの丸善工場のインクの匂う門のあたりに、繁った古い樫の梢ばかりである。