Japanische Klassiker mit Furigana
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とめさんとそのおんな
留さんとその女
山本 周五郎
Lesen Sie 留さんとその女 (とめさんとそのおんな) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.799 Zeichen · 14 Bildschirme
と留さんが答える、「今度あまったくおらも眼が醒めただあ、今度こさあ辛抱するだから、まあ見ていてくだせえよ」
よろしい、そこで高梨の奥さんは見ている、やっぱり駄目だ。女は留さんを騙し放題に騙したあげくどこかへいなくなってしまう――そして留さんの気の抜けたような馬鹿踊がしばらく蒸汽河岸を陽気にするのであった。
けれどそんな状態は長く続かない、やがて留さんは踊らなくなる。黙りこんでしまう、いつも舳先のところに屈みこんで、ぼんやりどこかを見守っている、
「ああ、うう」
とときどきひくく呻る。
彼の役割が自然と放棄されるのはいたしかたがない。ぶるさんが霞んだ眼を剥き出して、めくらめっぽうに三十五号船とねじ合うのはそういう時期であった。ほぼ二月ほどもこんなようすが続くと、しかし留さんはまた残高五十銭の貯金通帳を持って、高梨の奥さんのところへやって来る、そして奥さんとのあいだに前のような問答が繰り返されるのである。――奥さんだけが彼の味方であったのである。
またしても留さんに女ができた。またしても……しかも今度は、噂のひろまる頃にはすでにもう……栗橋という船着場の近くにある壊れかかった百姓家を借りて女と世帯を営んでいた。