Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
「そうです。僕は秋坂です。」
幽霊か狐のような女は、僕のそばへ近寄って来た。
「先日はどうも失礼をいたしました。」
暗いなかで顔かたちはわからないが、僕ももう大抵の鑑定は付いた。
「あなたは勝田の妹さんですか。」
「そうでございます。」
果して彼女は勝田良次の妹の芸妓であった。と思う間もなく、女はまた言った。
「あなたはこれから町の方へお帰りでございますか。」
「はあ。これから家へ帰ります。」
「では、御一緒にお供させていただけますまいか。わたくしも町の方まで参りたいのですが。」と、女は僕の方へいよいよ摺り寄って来た。
いやだともいえないのと、この女から何かの秘密を聞き出してやりたいというような興味もまじって、僕は彼女と列んで歩き出した。
「あなたは前から市野さんを御存じですか。」と、女は訊いた。
市野と一緒にあるいていたのは、この女であったことがいよいよ確かめられた。それからだんだん話してみると、この女も芒のかげに忍んでいて、市野と僕との会話をぬすみ聞いていたらしかった。そうして、僕が秋坂という人間であることを市野の口から教えられたらしかった。さもなければ、彼女が僕の名を知っているはずがない。