Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
今夜は薄く曇っていたが、低い空には星のひかりがまばらにみえた。門前の右どなりは僕の叔父の屋敷で、叔父は涼みながらに門前にたたずんでいると、西岡は透かし視て声をかけた。
「妹は今ここを通りゃあしなかったかね。」
「挨拶はしなかったが、今ここを通ったのはお福さんらしかったよ。」
「どっちへ行った。」
「あっちへ行ったようだ。」
叔父の指さす方角へ西岡は足早に追って行ったが、やがて又引っ返して来た。
「どうした。お福さんに急用でも出来たのか。」と、叔父は訊いた。
「どうもおかしい。」と、西岡は溜息をついた。「貴公だから話すが、まったく不思議なことがある。貴公はたしかにお福を見たのかね。」
「今も言う通り、別に挨拶をしたわけでもなし、夜のことだからはっきりとは判らなかったが、どうもお福さんらしかったよ。」
「むむ。そうだろう。」と、西岡はうなずいた。「貴公ばかりでなく、下女のお霜も見たというのだから……。いや、どうもおかしい。まあ、こういうわけだ。」
妹に生きうつしの娘を三度も見たということを西岡は小声で話した。他人の空似といってしまえばそれ迄のことであるが、自分はどうも不思議でならない。