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Japanische Klassiker mit Furigana

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うみがめ

異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二

岡本 綺堂

Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme

Aozora Bunko

「どうもしねえか。」と、弥七は小声で訊いた。「おかしいのう。じゃ、まあ仕方がねえ。おれはこれで帰るから、あとを気をつけるがいいぜ。」

まだ吠えやまない犬を追い立てて、弥七は麓の方へくだって行った。

三

今まではなんの気もつかなかったが、弥七におどされてから重兵衛もなんだか薄気味悪くなって来た。まさかにえてものでもあるまい――こう思いながらも、彼はかの旅人に対して今までのような親しみをもつことが出来なくなった。かれは黙って中へ引っ返すと、旅人はかれに訊いた。

「今の鉄砲の音はなんですか。」

「猟師が嚇しに撃ったんですよ。」

「嚇しに……。」

「ここらへは時々にえてものが出ますからね。畜生の分際で人間を馬鹿にしようとしたって、そりゃ駄目ですよ。」と、重兵衛は探るように相手の顔をみると、かれは平気で聞いていた。

「えてものとは何です。猿ですか。」

「そうでしょうよ。いくら甲羅経たって人間にゃかないませんや。」

こう言っているうちにも、重兵衛はそこにある大きい鉈に眼をやった。すわといったらその大鉈で相手のまっこうを殴わしてやろうと、ひそかに身構えをしたが、それが相手にはちっとも感じないらしいので、重兵衛もすこし張合い抜けがした。