Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
わたしも縁側に蒲蓙を敷いて、倉沢と向い合っていたが、今や自分が熱心に話して聞かせた怪談を、頭から問題にしないように蹴散らされてしまうと、なんだか一種の不平を感じないわけにもいかなかった。
「君はただ笑っているけれども、考えると不思議じゃないか。女の生首が中間ひとりの眼にみえたというならば格別、辻番の三人にも見え、稲城の家の細君にも見えたというのだから、どうもおかしいよ。」
「おかしくないね。」
「じゃあ、君にその説明がつくのかね。」
「勿論さ。」と、倉沢は澄ましていた。
「うむ、おもしろい。聞かしてもらおう。」と、わたしは詰問するように訊いた。
「迷信家の蒙をひらいてやるかな。」と、彼はまた笑った。「君が頻りに問題にしているのは、その西瓜が大勢の眼に生首とみえたということだろう。もしそれが中間ひとりの眼に見えたのならば、錯覚とか幻覚とかいうことで、君も承認するのだろう。」
「だからさ。今も言う通り、それが中間ひとりの眼で見たのでないから……。」
「ひとりでも大勢でも同じことだよ。君は『群衆妄覚』ということを知らないのか。群衆心理を認めながら、群衆妄覚を認めないということがあるものか。