Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
「ねえ、兄さん。こんな人込みの賑やかな中でも、盆燈籠はなんだか寂しいもんですね。」
「そうだなあ。」と僕は軽く答えた。
あとになってみると、そんなことでも一種の予覚というような事が考えられる。美智子はやがて盆燈籠を供えられる人になってしまって、彼女と僕とは永久の別れを告げることになったのだ。
妹が出発してから一週間ほどの後に、僕も友人と共に日光の山へ登って――最初は涼しいところで勉強するなどと大いに意気込んでいたのだが、実際はあまり勉強もしなかった。湖水で泳いだり、戦場ヶ原のあたりまで散歩に行ったりして、文字通りにぶらぶらしていると、妹が帰郷してから一カ月あまりの後、八月十九日の夜に、僕は本郷の親戚から電報を受取った。帰省ちゅうの美智子が死んだから直ぐに帰れというのだ。僕もおどろいた。
なにしろそのままには捨て置かれないと思ったので、僕は友人を残して翌日の早朝に山をおりた。東京へ帰って聞きただすと、本郷の親戚でも単に死亡の電報を受取っただけで詳しいことは判らないが、おそらく急病であろうというのだ。誰でもそう思うのほかはない。残暑の最中であるから、コレラというほどではなくても、急性の胃腸加答児のような病気に襲われたのでないかという噂もあった。