Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
」
「むむ、不思議だ。それだから貴公たちに訊いているのだ。」と、堀口は子細らしく考えていた。
「堀口はしきりに気にしているようだが、一体その婆がどうしたというのだ。」と、主人の織衛も啄をいれた。
「いや、御主人。実はこういうわけです。」と、堀口は向き直って説明した。「ただいま御当家へまいる途中で、あの鬼婆横町を通りぬけると、丁度まんなか頃の大溝のふちに一人の婆が坐っているのです。なにしろ頭から一面の雪になっているので、着物などは何を着ているのか判らない。唯からだじゅうが真っ白に見えるばかりですから、わたしも最初は雪達磨が出来ているのかと思ったくらいでしたが、近寄ってよく見ると、確かに生きている人間で、雪の中に坐ったままで微かに息をついているのです。」
「病気で動かれなくなったのではないかな。」と、織衛は言った。
「わたしもそう思ったので、立ちどまって声をかけて、おい、どうしたのかと言うと、その婆のすがたは消えるように見えなくなってしまったのです。なにしろ薄暗いなかで、雪明かりを頼りにぼんやり見たのですから自分にも確かなことは判りません。もしや自分の空目かと思ったのですが、どうもそうばかりではないらしく、一人の婆が真っ白な姿で路ばたに坐っていたのは本当のように思われてならないのです。