Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
。こう言うと、冬坡ははなはだふしだらのようにも聞えますが、何分にもああいう気の弱い男ですから、女の方から眼の色を変えて強く迫って来られると、それを払いのけるだけの勇気がないので、どっちにも義理が悪いと思いながら、両方の女にひきずられて、まあずるずるにその日その日を送っていたという訳です。
しかし、それがいつまでも無事にすむはずがありません。去年の暮に、冬坡のおふくろが風邪をひいて、冬至の日から廿六日頃まで一週間ほど寝込んだことがあります。そのときに染吉とお照とが見舞に来て……。どちらも菓子折かなにかを持ってきて、しかも同時に落合ったものですから、はなはだ工合の悪いことになってしまいました。どうもひと通りの見舞ではないらしいと染吉も睨む、お照も睨む。双方睨みあいで、そのときは何事もなく別れたのですが、二人の女の胸のなかに青い火や紅い火が一度に燃えあがったのは判り切ったことです。
そこで、人間はまあ五分五分としても、お照の方が年も若いし、おまけに相当の料理屋の娘というのですから、この方に強味があるわけですが、困ったことには片足が短い、まあこういう場合にはそれが非情な弱味になります。