Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
他の者共も羨んだ。
喜ぶとか羨むとかいうほかに、それが大勢の好奇心をそそったので、福井のまわりを幾重にも取りまいて、みな口々に種々の質問を浴びせかけた。鐘の沈んでいた位置、鐘の形、その周囲の状況などを、いずれもくわしく聞こうとした。福井がこうして持囃されるにつけて、ここに手持無沙汰の人間がふたり出来た。それは三上治太郎と大原右之助でなければならない。この二人は鐘を認めないと報告したのに、最後に行って、しかも最も年のわかい福井文吾がそれを見いだしたというのであるから、かれらはどうしても器量を下げたことになる。ことに一番の年上でもあり、家柄も上であるところの三上は、若輩の福井に対してまことに面目ない男になったのである。
三上は大原を葉桜の木かげへ招いで、小声で言い出した。
「福井はほんとうに鐘を見付けたのだろうか。」
「さあ。」と、大原も首をひねった。かれも実は半信半疑であった。しかし自分は大きい魚に襲われ、さらにおそろしい藻におびやかされて、淵の底の隅々までも残らず見届けて来なかったのであるから、もしも一段の勇気を振るって、底の底まで根よく猟り尽くしたらば、あるいは福井と同じようにその鐘の本体を見付けることが出来たのかも知れない。