Japanische Klassiker mit Furigana
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うみがめ
異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二
岡本 綺堂
Lesen Sie 異妖の怪談集 岡本綺堂伝奇小説集 其ノ二 (うみがめ) von 岡本 綺堂 (おかもときどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 144.507 Zeichen · 291 Bildschirme
「いや、見たものは見たというよりほかはない。」
「そうか。」と、三上は考えていた。
そんなことに時を移しているうちに、浅草寺のゆう七つの鐘が水にひびいて、将軍お立ちの時刻となったので、近習頭から供揃えを触れ出された。三上も大原も福井も、他の人々と一緒にお供をして帰った。
きょうの役目をすませて、大原が下谷御徒町の組屋敷へ帰った時には、このごろの長い日ももう暮れ切っていた。風呂へはいって汗をながして、まずひと息つくと、左の脾腹から胸へかけて俄かに強く痛み出した。鯉か鱸か知れない魚に撲たれた痕が先刻からときどきに痛むのを、お供先では我慢していたのであるが、家へ帰って気がゆるんだせいか、この時いっそう強く痛んで来て、熱もすこし出たらしいので、かれは夕飯も食わずに寝床に転げ込んでしまった。家内のものは心配して医者を呼ぼうかと言ったが、あしたになれば癒るであろうとそのままにして寝ていると、その枕もとへ三上治太郎がたずねて来た。
「福井の奴が鐘を見たというのがどうも腑に落ちない。これから出直して行って、もう一度探ってみようと思うが、どうだ。」
彼はこれから鐘ヶ淵へ引っ返して行って、その実否をたしかめるために、ふたたび淵の底にくぐり入ろうというのであった。