Japanische Klassiker mit Furigana
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きけいのてんにょ
畸形の天女
江戸川 乱歩
Lesen Sie 畸形の天女 (きけいのてんにょ) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.893 Zeichen · 35 Bildschirme
ふみ子はふたりの男を同時にあやつれるような性格ではない。しかし、以前のことはわからない。今夜は一つ尋ねてみよう。
「お客さん、南千住ですよ。これから、どっちへやるんです」
運転手が彼の方を振り向いて、怒ったような顔をしていた。松永は回想からさめて、小型タクシーの窓から、あたりを見まわした。向こうに南千住駅の灯火が見えている。すっかり夜になっていた。
「よし、ここで降りる」
天女と出会いの場所までは、五、六丁もあるが、わざとそこで降りて、大いそぎで歩いた。彼女はあのまっ暗な空き家の古畳の上に寝そべって、待ちくたびれているにちがいない。
電灯の光もうす暗い裏町を幾まがり、彼は夢の細道を、憑かれたように歩いていた。
「おじさん、今晩は」
聞きおぼえのある声がして、このあいだの額に傷痕のある青年が、目の前に立っていた。やっぱり酔っているらしかった。暗い横町なので、この前のように、顔がはっきりは見えなかった。松永は、なんだか無気味なものを感じて、立ち止まった。
「このあいだの約束、守ってくれるだろうね。ふみ子に手を出さないでもらいてえんだ。え、おじさん、だいじょうぶだろうね」