Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎもんのきんかい
疑問の金塊
海野 十三
Lesen Sie 疑問の金塊 (ぎもんのきんかい) von 海野 十三 (うんのじゅうざ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 15.600 Zeichen · 32 Bildschirme
しかしその夜はなかなか酔いが廻らなかった。
その代り、いろいろの人の顔が浮んで消え、消えた後からまた浮びあがった。――銀座の花村貴金属店の飾窓をガチャーンと毀す覆面の怪漢が浮ぶ。九万円の金塊を小脇に抱えて走ってゆくうちに、覆面がパラリと落ちて、その上から現れたのは赤ブイの仙太の赤づらだ。すると横合から、蛇のような眼を持ったカンカン寅がヒョックリ顔を出す。とたんに仙太の顔がキューッと苦悶に歪む。カンカン寅の唇に、薄笑いが浮かんで、手に持ったピストルからスーッと白煙が匍い出してくる。二人の刑事の顔、壮平爺さんの嬉しそうな顔、そして幼な馴染の清子の無邪気な顔、――それが見る見る媚かな本牧の女の顔に変る。
「明日になったら、清子に一度逢ってくれるかな。清子も逢いたいと云っているって、壮平爺さんが云ったが……。莫迦莫迦。手前はなんて唐変木なんだろう。自惚が強すぎるぜ。まだ仕事も一人前に出来ないのに……」
自嘲したり、自惚たりしているうちに、ようやく陶然と酔ってきた。――そして、いつの間にかグッスリ睡ったものらしい。
コツ、コツ、コツ。
慌ただしいノックの音だ。