Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎわく
疑惑
江戸川 乱歩
Lesen Sie 疑惑 (ぎわく) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.308 Zeichen · 37 Bildschirme
食事の時なんか、四人の者が顔を合せても、だれも物をいわない。変にじろじろ顔を見合せている。その様子が、どうやら、母親にしろ、妹にしろ、おれと同じ様に兄貴を疑っている鹽梅なのだ。兄貴は兄貴で、妙に青い顔をして黙り込んでいる。実に何とも形容の出来ない。いやあないやあな感じだ。おれはもう、あんな家の中にいるのは堪まらない。学校から帰って、一歩家の敷居をまたぐと、ゾーッと陰気な風が身にしみる。家長を失って、たださえさびしい家の中に、母親と三人の子供が、黙り込んで、てんでに何かを考えて、顔を見合せてばかりいるのだ。……ああ堪まらない堪まらない」
「君に話しを聞いていると怖くなる。だが、そんなことはないだろう。まさか兄さんが……君は実際鋭敏過ぎるよ。取こし苦労だよ」
「いや、決してそうじゃない。おれの気のせいばかりではない。もし理由がなければだが、兄貴には、親父を殺すだけの、ちゃんと理由がある。兄貴が親父の為にどれ程苦しめられていたか、随って親父をどんなににくんでいたか。……殊にあの晩は、母親が怪我までさせられているのだ。母親思いの兄貴が、激こうの余り、ふと飛んでもない事を考えつかなかったとはいえない」