Japanische Klassiker mit Furigana
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ぎわく
疑惑
江戸川 乱歩
Lesen Sie 疑惑 (ぎわく) von 江戸川 乱歩 (えどがわらんぽ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.308 Zeichen · 37 Bildschirme
生きている間は、さんざんお袋やおれ達を苦しめておいて、それ丈けでは足らないで、あんな恥さらしな死に方をするなんて、……おれは悲しくなんぞ、ちっともないんだよ。くやしくて仕様がないのだ」
「本当に、君は、今日は、どうかしている」
「君に分らないのは尤もだよ。いくら何でも、自分の親の悪口をいうのは、いやだったから、おれは今日まで、君にさえ、これっぱかりも、そのことを話さなかったのだ」
「…………」
「おれは、昨日から、何ともいえない変てこな気持なんだ。親身の父親が死んだのを悲しむことが出来ない。……いくらあんな父親でも、死んだとなれば、定めし悲しかろう。おれはそう思っていた。ところが、おれは今、少しも悲しくないんだよ。若しも、あんな不名誉な死に方でさえなかったなら、死んで呉れて助かった位のものだよ」
「本当の息子から、そんな風に思われるお父さんは、しかし、不幸な人だね」
「そうだ、あれがどうすることも出来ない親父の運命だったとしたら、考えて見れば、気の毒な人だ。だが、今、おれにはそんな風に考える余裕なんかない。ただ、いまいましいばかりだ」
「そんなに……」
「親父は、じいさんが残して行った、僅ばかりの財産を、酒と女に使い果す為に生れて来た様な男なんだ。