Japanische Klassiker mit Furigana
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くじょしょうろく
痀女抄録
矢田 津世子
Lesen Sie 痀女抄録 (くじょしょうろく) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 32.578 Zeichen · 65 Bildschirme
小っちゃい可愛らしいお内儀さんが出来上ってよ。まるで、お人形みたいだって、御近所で評判になることよ」
銀三は笑いながら聞いているが、こんなことを言われるたびに、いつも戸惑いしてしまう。そして、だんだん笑わないで、考え込むようになった。
或る日、地震があって、電球が僅か揺れたぐらいでやんでしまったが、咄嗟に、寿女も銀三も座を立ちかけた。胡粉で下絵から布地に絵を写していた連之助だけは、素知らぬ顔で続けている。微かな揺れかえしがきた時、中腰になっていた寿女は大袈裟に蹣跚けて隣りの枠台に手をつき、胡粉皿がひっくりかえった。写しかけの綴れの布に白い絵具がべっとりと流れ、連之助は、呆然と顔を上げて、寿女を見た。
また、或る日、銀三といつもの冗談口をききあっていた寿女が、大きな声を上げて笑い出すと、連之助が顔を上げて、
「少し静かにして下さい」
と怒鳴った。
「こちらはこちら、そちらはそちらよ。おうるさかったら、どうぞ塀でもまわして下さいな、お隣りさん」
寿女は取り澄まして、持ち針をちょいちょいと髪へなすりつけながら酬いた。
「何を言う」
と、連之助はむっとして針を続けたが、不意に、「あっ!」