Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
譲治さんは気が小さくって融通が利かないからいけないのよ」
そう云った調子で、彼女は自分の買いたいものは総べて現金、月々の払いはボーナスが這入るまで後廻しと云うやり方。そのくせ矢張借金の言訳をするのは嫌いで、
「あたしそんなこと云うのは厭だわ、それは男の役目じゃないの」
と、月末になればフイと何処かへ飛び出して行きます。
ですから私は、ナオミのために自分の収入を全部捧げていたと云ってもいいのでした。彼女を少しでもよりよく身綺麗にさせて置くこと、不自由な思いや、ケチ臭いことはさせないで、のんびりと成長させてやること、―――それは素より私の本懐でしたから、困る困ると愚痴りながらも彼女の贅沢を許してしまいます。するとそれだけ他の方面を切り詰めなければならない訳で、幸い私は自分自身の交際費はちっとも懸りませんでしたが、それでもたまに会社関係の会合などがあった場合、義理を欠いても逃げられるだけ逃げるようにする。その外自分の小遣い、被服費、弁当代などを、思い切って節約する。毎日通う省線電車もナオミは二等の定期を買うのに、私は三等で我慢をする。飯を炊くのが面倒なので、てんや物を取られては大変だから、私が御飯を炊いてやり、おかずを拵えてやることもある。