Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
「そう云えば君は、河合さんとは始めてなんじゃなかったかしら?」
「ああ、お顔はたびたび見たことがあるがね、―――」
「熊谷」と呼ばれたまアちゃんは矢張ナオミの背中越しに、椅子のうしろに衝っ立ったまま、私の方へジロリと厭味な視線を投げました。
「僕は熊谷政太郎と云うもんです。―――自己紹介をして置きます、どうか何分―――」
「本名を熊谷政太郎、一名をまアちゃんと申します。―――」
ナオミは下から熊谷の顔を見上げて、
「ねえ、まアちゃん、ついでにも少し自己紹介をしたらどうなの?」
「いいや、いけねえ、あんまり云うとボロが出るから。―――委しいことはナオミさんから御聞きを願います」
「アラ、いやだ、委しい事なんかあたしが何を知っているのよ」
「あははは」
この連中に取り巻かれるのは不愉快だとは思いながら、ナオミが機嫌よくはしゃぎ出したので、私も仕方なく笑って云いました。
「さ、いかがです。浜田君も熊谷君も、これへお掛けになりませんか」
「譲治さん、あたし喉が渇いたから、何か飲む物を云って頂戴。浜さん、あんた何がいい? レモン・スクォッシュ?」
「え、僕は何でも結構だけれど、………」