Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

「ああ、まあそうだな」

「じゃ、まアちゃんは?」

「己ア平気さ、お前なんか女の数に入れちゃあいねえさ」

「女でなけりゃ何なのよ?」

「うむ、まあお前は海豹だな」

「あはははは、海豹と猿と孰方がいい?」

「孰方も己あ御免だよ」

と、熊谷はわざと眠そうな声を出しました。私は熊谷の左側に寝ころびながら、三人がしきりにべちゃくちゃ云うのを黙って聞いていましたが、ナオミが此処へ這入って来ると、浜田の方か、私の方か、いずれ孰方かへ頭を向けなければならないのだが、と、内々それを気にしていました。と云うのは、ナオミの枕が孰方つかずに、曖昧な位置に放り出してあったからです。何でもさっき布団を敷く時に、彼女はわざとそう云う風に、あとでどうでもなるように置いたのじゃないかと思われました。と、ナオミは桃色の縮みのガウンに着換えてしまうと、やがて這入って来て衝っ立ちながら、

「電気を消す?」

と、そう云いました。

「ああ、消して貰いてえ、………」

そう云う熊谷の声がしました。

「じゃあ消すわよ。………」

「あ、痛え!」

と、熊谷が云ったとたんに、いきなりナオミはその胸に飛び上って、男の体を蹈み台にして、蚊帳の中からパチリとスイッチを切りました。