Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
私は明かに、ナオミが例のそそのかすような表情をして、意地の悪い眼で微笑しながら、じっと此方を見おろしているのを、うす暗い中で感じました。
「呆れたなんて嘘なのよ。あたしにガウンを着られるとたまらないッて云う癖に、今夜はみんなが居るもんだから我慢してるのよ。ねえ、譲治さん、中ったでしょう」
「馬鹿を云うなよ」
「うふふふふ、そんなに威張るなら、降参させてやろうか」
「おい、おい、ちと穏やかでねえね、そう云う話は明日の晩に願いてえね」
「賛成!」
と、浜田も熊谷の尾に附いて云って、
「今夜はみんな公平にして貰いたいなア」
「だから公平にしてるじゃないの。恨みッこがないように、浜さんの方へは此方の足を出しているし、譲治さんの方へは此方を出してるし、―――」
「そうして己はどうなんだい?」
「まアちゃんは一番得をしてるわよ、一番あたしの傍にいて、こんな所へ首を突ン出してるじゃないの」
「大いに光栄の至りだね」
「そうよ、あんたが一番優待よ」
「だがお前、まさかそうして一と晩じゅう起きてる訳じゃねえだろう。一体寝る時はどうなるんだい?」
「さあ、どうしようか、孰方へ頭を向けようか。浜さんにしようか、譲治さんにしようか」