Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

ときどき熊谷が寝返りを打つと、べっとり汗ばんだ手だの膝だのが互にぬるぬると触りました。ナオミはと見ると、枕は私の方にありながら、その枕へ片足を載せ、一方の膝を立てて、その足の甲を私の布団の下へ突っ込み、首を浜田の方へかしげて、両手は一杯にひらいたまま、さすがのお転婆もくたびれたものか、好い心持そうに眠っています。

「ナオミちゃん………」

と、私はみんなの静かな寝息をうかがいながら、口のうちでそう云って、私の布団の下にある彼女の足を撫でてみました。ああこの足、このすやすやと眠っている真っ白な美しい足、これはたしかに己の物だ、己はこの足を、彼女が小娘の時分から、毎晩々々お湯へ入れてシャボンで洗ってやったのだ、そしてまあこの皮膚の柔かさは、―――十五の歳から彼女の体は、ずんずん伸びて行ったけれど、この足だけはまるで発達しないかのように依然として小さく可愛い。そうだ、この拇趾もあの時の通りだ。小趾の形も、踵の円味も、ふくれた甲の肉の盛り上りも、総べてあの時の通りじゃないか。………私は覚えず、その足の甲へそうッと自分の唇をつけずにはいられませんでした。

夜が明けてから、私は再びうとうととしたようでしたが、やがてどっと云う笑い声に眼がさめて見ると、ナオミが私の鼻の孔へかんじよりを突っ込んでいました。