Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

「おい、どうするいまアちゃん―――もう一遍泳いで来ようか?」

「やあだア、己あ、くたびれたからもう帰ろうや。これから行って一と休みして、東京へ帰ると日が暮れるぜ」

「これから行くって、何処へ行くのよ?」

と、ナオミは浜田に尋ねました。

「何か面白い事でもあるの?」

「なあに、扇ヶ谷に関の叔父さんの別荘があるんだよ。今日はみんなでそこへ引っ張って来られたんで、御馳走するって云うんだけれど、窮屈だから飯を喰わずに逃げ出そうと思っているのさ」

「そう? そんなに窮屈なの?」

「窮屈も窮屈も、女中が出て来て三つ指を衝きやがるんで、ガッカリよ。あれじゃ御馳走になったって飯が喉へ通りゃしねえや。―――なあ、浜田、もう帰ろうや、帰って東京で何か喰おうや」

そう云いながら、熊谷は直ぐに立とうとはしないで、脚を伸ばしてどっかり浜へ腰を据えたまま、砂を掴んで膝の上へ打っかけていました。

「ではどうです、僕等と一緒に晩飯をたべませんか。折角来たもんだから、―――」

ナオミも浜田も熊谷も、一としきり黙り込んでしまったので、私はどうもそう云わなければ、バツが悪いような気がしました。

十五

その晩は久しぶりで賑やかな晩飯をたべました。