Japanische Klassiker mit Furigana
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ちじんのあい
痴人の愛
谷崎 潤一郎
Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme
「ナオミも悪いが、僕にも責任があるんですよ。僕は世間の所謂『夫婦』と云うものが面白くないんで、成るべく夫婦らしくなく暮らそうと云う主義だったんです。そいつがどうも飛んだ間違いになったんだから、もうこれからは改良しますよ。いや、ほんとうに懲り懲りしましたよ」
「そうなすった方がよござんすね。それから河合さん、自分のことを棚に上げてこんなことを云うのも可笑しいですが、熊谷は悪い奴ですから、注意なさらないといけませんよ。僕は決して恨みがあると云うんじゃないんです。熊谷でも関でも中村でも、あの連中はみんな良くない奴等なんです。ナオミさんはそんなに悪い人じゃありません。みんな彼奴等が悪くさせてしまったんです。………」
浜田は感動の籠った声で云うと同時に、その両眼には再び涙を光らせていました。さてはこの青年は、これほど真面目にナオミを恋していたのだったか、そう思うと私は感謝したいような、済まないような気がしました。若しも浜田は、私と彼女とが既に完全な夫婦であると云われなかったら、進んで彼女を譲ってくれと云い出すつもりだったのでしょう。いやそれどころか、たった今でも、私が彼女をあきらめさえしたら、彼は即座に彼女を引き取ると云うでしょう。