Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

これは彼女に泥を吐かせると云うような考は止めにして、いっそ此方から今日の出来事を話してしまった方がいい。そうすればいくら強情でもそれを知らないとは云えないだろう。よし、そうしようと思ったので、

「僕は今日、朝の十時頃に大森へ寄ったら浜田に遇ったよ」

と、先ずそんな風に云って見ました。

「ふうん」

とナオミは、さすがにぎょッとしたらしく私の視線を避けるように、鼻の先でそう云いました。

「それからかれこれするうちに飯時になったもんだから、浜田を誘って『松浅』へ行って、一緒に飯を喰ったんだ。―――」

もうそれからはナオミは返辞をしませんでした。私は彼女の顔色に絶えず注意を配りながら、あまり皮肉にならないように諄々と話して行きましたが、話し終ってしまうまで、ナオミはじっと下を向いて聴いていました。そして悪びれた様子はなく、ただ頬の色がこころもち青ざめただけでした。

「浜田がそう云ってくれたので、僕はお前に聞くまでもなくみんな分ってしまったんだ。だからお前は何も強情を張ることはない。悪かったらば悪かったと、そう云ってくれさえすればいいんだ。………どうだい、お前、悪かったかね? 悪いと云うことを認めるかね?」