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Japanische Klassiker mit Furigana

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ちじんのあい

痴人の愛

谷崎 潤一郎

Lesen Sie 痴人の愛 (ちじんのあい) von 谷崎 潤一郎 (たにざきじゅんいちろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 179.399 Zeichen · 353 Bildschirme

Aozora Bunko

人と人との勝ち負けは理智に依ってのみ極るのではなく、そこには「気合い」と云うものがあります。云い換えれば動物電気です。まして賭け事の場合には尚更そうで、ナオミは私と決戦すると、始めから気を呑んでかかり、素晴らしい勢で打ち込んで来るので、此方はジリジリと圧し倒されるようになり、立ち怯れがしてしまうのです。

「ただでやったってつまらないから、幾らか賭けてやりましょうよ」

と、もうしまいにはナオミはすっかり味をしめて、金を賭けなければ勝負をしないようになりました。すると賭ければ賭けるほど、私の負けは嵩んで来ます。ナオミは一文なしの癖に、十銭とか二十銭とか、自分で勝手に単位をきめて、思う存分小遣い銭をせしめます。

「ああ、三十円あるとあの着物が買えるんだけれど。………又トランプで取ってやろうかな」

などと云いながら挑戦して来る。たまには彼女が負けることがありましたけれど、そう云う時には又別の手を知っていて、是非その金が欲しいとなると、どんな真似をしても、勝たずには置きませんでした。

ナオミはいつでもその「手」を用いられるように、勝負の時は大概ゆるやかなガウンのようなものを、わざとぐずぐずにだらしなく纏っていました。