Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

ja-reading.com

Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.

しろいかべ

白い壁

本庄 陸男

Lesen Sie 白い壁 (しろいかべ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.697 Zeichen · 51 Bildschirme

Aozora Bunko

杉本はその間に、やっぱり今日の修身も講談にしようと決心した。修身修身と言ってよろこぶ子供たちもまた、それによって「あとはこの次に」なっていた講談を思い浮べていた。

「先生――大久保彦ぜえ門!」と子供が催促した。「よし、彦左衛門」と杉本は答える。それを合図に子供たちはいずまいを正し、ごくりと唾をのみこむ音が聞えるのであった。教師はもうやけくそになって御前試合の一くさりに手ぶり身ぶりまで加える。その最高潮に達したところで、席の真中にいた一人の子供が、ふたたびぴょこんと立ちあがった。

「先生え……ちょ、ちょっ、ちょっと」

「何んだ? 元木――」

しかし元木武夫はもう自分の席からとびだしてきて、ぬうっと教師の鼻の下につっ立つのであった。そうしたとっぴな行動に杉本は馴れきっていた。彼は元木を無視してさらに話をつづけだした。所在なくなったその子供は教卓に凭れかかった。そこからしばらく、がくがくと動いている教師の顎を眺め、眺めているうちに彼のだらしない唇のすみからは涎が垂れ落ちた。元木武夫は首をおとした。そして教卓にたまった涎の海に指をつっこみでたらめな絵を描き、その絵がまだ描きあがらぬうちにはたと自分の疑問に思い当った。