Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいかべ
白い壁
本庄 陸男
Lesen Sie 白い壁 (しろいかべ) von 本庄 陸男 (ほんじょうむつお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.697 Zeichen · 51 Bildschirme
年がら年じゅうこづきまわされている彼らは、これだけは自分の自由意志だと思いこんだものがぐわんと阻まれるその刹那に、想像できないほどの敵愾心を煽られるのであった。こんな平教員に舐められるものかという風に使丁は明らかに冷笑を浮べて、「へへえ……これだよ杉本さん」と自分の首筋をたたいてみせた。「子供が紛失してお前さん、親爺さんが泣きこんできてらあ」
「なにいッ?」と杉本は棒立ちになった。
「お前さん子供がどうだっていいと言うならば、校長さんに話さにゃならんが……」
「いや――」と杉本は使丁を停め「俺が捜してみせる」と呶鳴った。そして小使室に駈けこんだが、彼は自分のその行動がきゅうに忌々しくなってそこから振りかえりざま声を荒くした。
「か、勝手にしろ」
だが、小使室にしょんぼりしていた川上忠一の父親は、一ぺんに神経を取り戻して「先生さまあ――」と悲鳴をあげた。「あとにも先にもたった一人の伜でがして、なあ、先生さまあ……」
彼はそう言って、胸に漲っていた心痛のはけ口を杉本に向け、潮くさい身体をやたらに折り曲げるのであった。
学校の門を出てからの子供が、それぞれの家に辿り着くまでの責任はやっぱり教師にあるというのであった。