Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいつばさ
白い翼
宮本 百合子
Lesen Sie 白い翼 (しろいつばさ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 2.369 Zeichen · 5 Bildschirme
その時、小屋の棧の隙間をとおして鋭い電燈の光が射し込んだ。雄鳩は雌の白い姿を認めた。棲り木から首をのばし彼はそっと嘴で何故か自分の側にいぬ妻を突ついた。再びカサカサ身じろぎをし、雌は、
「クククウウウウウウ」
とゆるやかに啼いた。四辺の秋の夜の通りその声は情がこもっていた。雄鳩は悲しさと恋心の混り合った感情に揺られ、猶も自分の傍に来させようと、コツコツ・コツコツ嘴で棲り木をたたいた。時々羽毛の触る微かなカサカサいう音がするだけで、雌は終に彼の傍に戻って来なかった。
黎明が鳩の目を明るくした。雄鳩は大きな悲しみを見出し、鳴きながら脚を高くあげその辺を歩き廻った。夜のうちに雌は死んだ。
雄鳩は雌の死んだことを忘れた。昼間、太陽が野天に輝やいて、遠くの森が常緑の梢で彼を誘惑する時、雄鳩は白い矢のように勇ましく其方へ翔んだ。けれども夕方が地球の円みを這い上って彼の本能に迫る時、雄鳩は急な淋しさを覚えた。彼は畑や、硝子をキラキラ夕栄えさせる温室の陰やらを気ぜわしく鳴きながら歩き廻った。
「ゴロッホーゴロッホー」
彼は雌を熱心にさがし求めた。水蓮が枯れて泥ばかりの水鉢の奥から、霜よけの藁まで嘴で突いた。