Japanische Klassiker mit Furigana
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しろいはなあかいくき
白い花赤い茎
田中 貢太郎
Lesen Sie 白い花赤い茎 (しろいはなあかいくき) von 田中 貢太郎 (たなかこうたろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 5.634 Zeichen · 12 Bildschirme
「お母さんは鬼婆が怖いから、今晩は泊って明日の朝帰って来る、寝て待っておりましょうよ」と云って、戸締をしてから、地炉の傍で三人が枕を並べて寝た。
其の夜遅くなってとんとんと門口を叩く音に、総領女が眼を覚した。
「たあれ、たあれ、たあれ」と総領女が云った。
「私じゃ、私じゃ」と、戸外の声は云った。
総領女は母が帰ったと思った。と、思う下から、日が暮れるなら泊って来ると約束した詞を思いだした。それに母は鬼婆のいる観音山を夜遅く越えて帰って来るはずが無いとも思った。
「開けて、開けて」と、戸外の声は云った。
……どうもお母さんの声とちがっているようだと、総領女は思った。
「ほんとうにお母さんですか」と、総領女は耳を聳だてながら云った。
「私よ、私よ、……おう寒い、寒いから早う開けておくれ」
総領女は起きて入口の方へ往ったが、どうも其の詞の調子が母と違っているように思われるので、戸の懸金を放しかけてまた聞いた。
「ほんとうにお母さんですか」
「ほんとうとも、ほんとうとも、お前たちが待ちかねているだろうと思って、急いで帰って来た」
「それでもお母さんは、日が暮れたら泊って来ると、約束してたじゃありませんか」