Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろいかや

白い蚊帳

宮本 百合子

Lesen Sie 白い蚊帳 (しろいかや) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.800 Zeichen · 18 Bildschirme

Aozora Bunko

それは後になって見ると実際癌ではなかった。幽門の潰瘍風のものであったと見え、まさ子は殆ど医者にかからず、忍耐と天然の力をたのみに癒した。自分の体は自分が一番よく知っている、そのように今度も云った。

十時過、なほ子は耕一の仕事場にしている離れに行った。襯衣一枚になって、亢奮が顔に遺っていた。彼は出来上りかけている製作をなほ子に見せながら、

「姉さんいて呉れると、どんなに心丈夫だか分らない――話んなりゃしないんだから、間抜けばっかりで」

と云った。傍の台の上に、耕一が製図している家の油土の模型が出来ていた。彼は、

「電球見ないでね」

と注意して、二百燭をつけ、それを写真に撮った。卒業製作なのであった。

翌日、まさ子は床についたままで、矢張り殆ど食事が摂れなかった。

「こんなに長く恢復しないことは無いのに」自分でも怪しんだ。

「幽門の瘢痕は仕方がないもんだそうだね、時々サーッと音がするようだよ。――何だか感じがある」

母自身決して平気でいるのではなく、却って或る意味では医者を恐れているのが、なほ子に感じられた。なほ子が押して診察をすすめると、不快そうに理屈を云い、やがて、全然違う話をいろいろ始めた。