Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しろくれない

白くれない

夢野 久作

Lesen Sie 白くれない (しろくれない) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.846 Zeichen · 50 Bildschirme

Aozora Bunko

私は日本の女で御座りまする。父母に背かせ、天子様に反かせる異人の教へは受けませぬ。タツタ一人……タツタ一人の母様の御病気を治療し度いばつかりに、身を売りましたのが仇になつて……そこにお出でになる御役人衆のお言葉に靡きませなんだばつかりに……かやうに日の本の恥を、外つ国までも晒すやうな……不忠、不孝なわたくし……」

苦痛の為にかありけむ。初花の言葉は此処にて切れ/″\に乱れ途切れぬ。

石の如くなりて聞き居りし役人輩は此時、俄かに周章狼狽し初めたるが、そが中にも、罪状を読み上げたりし陣羽織の一人は、采配持つ手もわなゝきつゝ立上り、

「それ非人輩……先づ其の女から」

と指図すれば「あつ」と答へし憎くさげなる非人二人、初花の磔刑柱の下に走り寄り、槍を打ち合はする暇もなく白無垢の両の脇下より、すぶり/\と刺し貫けば鮮血さつと迸り流るゝ様、見る眼も眩めくばかり、力余りし槍の穂先は両肩より白く輝き抜け出でぬ。

あはれ初花は全く身に大波を打たせ、乱髪を逆立たせ渦巻かする大苦悶、大叫喚のうちに、

「……母しやま……済みませぬツ」

と云ふ。その言葉の終りは唐紅の血となりて初花の鼻と唇より迸り出づる。