Japanische Klassiker mit Furigana
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しろくれない
白くれない
夢野 久作
Lesen Sie 白くれない (しろくれない) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 24.846 Zeichen · 50 Bildschirme
永く忠勤を抽ん出可き御沙汰を賜はりしこそ笑止なりしか。
もとより、われは一握り程の碌米の為に、忠勤を抽出んとて武芸、学問を出精せるに非ず。半面鬼相にもあれ、何にもあれ。美しき女を数多侍らせ、金殿玉楼に栄燿の夢を見つくさむ事、偏へにわが学問と武芸にこそよれ。容貌、醜しとあれば疎み遠ざかり、あざみ笑ひ、少しの手柄あれば俄かに慈しみ、へつらひ寄る、人情紙の如き世中に何の忠義、何の孝行かある。今に見よ。その肝玉を踏み潰し、吠面かゝし呉れむと意気込みて、いよ/\腕を磨きければ二十一歳の冬に入りて指南役甲賀昧心斎より柳生流の皆伝を受くるに到りぬ。
此時、われに縁談あり。藩内二百石の馬廻り某氏の娘御にしてお奈美殿となん呼べる今年十六の女性なりしが、御家老の家柄にして屈指の大身なる藤倉大和殿夫婦を仲人に立て、娘御の両親も承知の旨答へ来りし体、何とやらむ先方より話を進め来りし気はひなり。
われ何となく心危ぶみて、自身に藤倉大和殿御夫婦を訪ひ、お奈美殿は藩内随一の御綺倆とこそ承れ。いまだ一度の御見合ひを遂げざるに御本人の御心如何あらむ。相手の婿がねが某なる事、屹度、御承知に相違御座なきやと尋ねし処、藤倉殿申さるゝ様。