Japanische Klassiker mit Furigana
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はくち
白痴
Lesen Sie 白痴 (はくち) von Sakaguchi Ango (坂口 安吾) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 22.985 Zeichen · 45 Bildschirme
なぜなら、路地のどん底に辿りつきこの家の門をくぐって見廻すけれども戸口というものがないからで、見渡す限り格子のはまった窓ばかり、この家の玄関は門と正反対の裏側にあって、要するにいっぺんグルリと建物を廻った上でないと辿りつくことができない。無用の侵入者は匙を投げて引下る仕組であり、乃至は玄関を探してうろつくうちに何者かの侵入を見破って警戒管制に入るという仕組でもあって、隣人は浮世の俗物どもを好んでいないのだ。この家は相当間数のある二階建であったが、内部の仕掛に就いては物知りの仕立屋も多く知らなかった。
気違いは三十前後で、母親があり、二十五六の女房があった。母親だけは正気の人間の部類に属している筈だという話であったが、強度のヒステリイで、配給に不服があると跣足で町会へ乗込んでくる町内唯一の女傑であり、気違いの女房は白痴であった。ある幸多き年のこと、気違いが発心して白装束に身をかため四国遍路に旅立ったが、そのとき四国のどこかしらで白痴の女と意気投合し、遍路みやげに女房をつれて戻ってきた。気違いは風采堂々たる好男子であり、白痴の女房はこれも然るべき家柄の然るべき娘のような品の良さで、眼の細々とうっとうしい、瓜実顔の古風の人形か能面のような美しい顔立ちで、二人並べて眺めただけでは、美男美女、それも相当教養深遠な