Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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しらぎく

白菊

夢野 久作

Lesen Sie 白菊 (しらぎく) von 夢野 久作 (ゆめのきゅうさく) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.486 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

彼はハッとしてその方向を見た。少女の首筋からマキリを遠ざけながら首を伸ばした。

……今まで気が付かなかったが、薄い黄絹の帷越しによく見ると、窓の外は一パイの星空であった。今の青白い直線は、その星の中の一つが飛び失せたものに相違なかった。それに連れて……やはり今まで気が付かなかった事であるが、どこか遠く遠くの海岸に打ち寄せるらしい深夜の潮の音が、微かに微かに硝子窓越しに聞えて来るのであった。それは、おおかた彼自身が、知らず知らずのうちに高い処へ来ていたせいであったろう……。

彼は緊張し切った態度のまま、その音に耳を澄ました。それから、やはりシッカリした身構えのうちに少女の寝顔と、右手のマキリを見比べた。

部屋の中に漾うている桃色の光りを白眼みまわした。

その光りが淀ませている薄赤い暗がりの四方八方から、彼に微笑みかけている、あらゆる愛くるしい瞳と、唇の一つ一つを念入りに眺めまわしているうちに、又もギックリと振り返って、窓の外の暗黒を凝視した。

……その時に又一つ……。

……ハッキリと星が飛んだ……。

……銀色の尾を細長く引いて……。

彼は愕然となった。